かわいい愛猫が急に吐いた。びっくりするのと同時に、病気ではないかととても心配になりますよね。今回は猫が吐く原因や、心配の少ない嘔吐と危険な嘔吐を見極める方法について解説します。
心配の少ない嘔吐と危険な嘔吐を見極めるには?

毛玉を排出するために吐いているのなら大きな問題はない

猫を飼い始めてまもない方は、猫が吐くのを見て驚いたことがあるかもしれません。しかし、猫の嘔吐は、必ずしも深刻な原因があるとは限りません。猫は定期的に毛づくろいをするので、どうしてもお腹の中に毛がたまりやすいのです。そのため、胃の中にある毛を吐き出すことがあるのです。
お腹に毛がたまりすぎると食欲不振になったりするので、便や嘔吐をして体の外に排出するのは、必ずしも問題ではありません。
中にはほとんど吐かない猫もいますが、個体差なので特に心配する必要はありません。ただしできるだけのケアをしてあげましょう。
長毛種の猫は毛玉がお腹にたまる可能性が高いので、こまめにブラッシングをしてあげたり、フードを毛玉コントロール用のものにしてあげるのがおすすめです。
食欲不振をともなう嘔吐は、病気の可能性があるので注意
猫は、お腹の中に毛玉ができる以外にも、食べすぎによって吐くことがあります。そのような嘔吐はあまり問題はありませんが、
なかには病気の可能性の嘔吐もあります。
病気の可能性がある嘔吐とそうでない嘔吐、分かりやすい指標が「食欲」です。もし吐いたとしても、食欲があればそれほど問題はありません。しかし、食欲がなく1日何度も繰り返し嘔吐したり、また嘔吐物が茶褐色に見える場合は、血が混じっている可能性もあり、体のどこかに異常があるのかもしれません。
また、病気以外にも、本来は猫が口にしてはいけない物を食べた可能性もあります。
人間が食べる物で、猫が食べてはいけないものを以下に紹介します。
ネギ類、玉ねぎ、チョコレート、ニラ、ニンニク、ぶどう、コーヒー、アルコール、ナッツ類、キシリトールガム、生の大豆、生のイカやアサリ
これ以外でも観葉植物や工業製品などを食べてしまうケースがあります。
もし、病気や食べてはいけないものを食べたなどの可能性がある嘔吐に気づいた場合は、すぐに動物病院に連れていきましょう。様子をみているうちに悪化してしまうケースがありますので、できるだけ早めに受診したほうが良いでしょう。
吐くことから予想される病気の種類

消化器系の病気が原因の可能性
ネコちゃんが繰り返し吐いて、食欲もないように見える場合は、病気にかかっている可能性があります。特に猫が内臓の病気を持っている場合、症状として嘔吐が現れやすくなります。内臓の病気の一種に、消化器系の病気があります。
嘔吐につながる消化器系の病気には、胃炎、食道炎、胃潰瘍、腸炎などがあります。また、消化器官にできたガンも同様に潜在的な原因の可能性があります。いずれにせよ、まずは動物病院で診察を受ける必要があります。
胃腸炎などでは、抗生物質や吐き気止め、下痢止め、整腸剤、粘膜保護剤などを使用して治療します。胃潰瘍では、制酸薬や抗ヒスタミン薬などを投与して胃酸の分泌を抑え、必要であれば手術することもあります。
これらの病気は、別の病気が原因となっていることもあるので、それについても調べる必要があります。

猫がかかりやすい腎不全。定期的な健診を
消化器系の疾患だけでなく、腎不全などの泌尿器系の疾患も嘔吐につながることがあります。
猫がかかりやすい腎不全は、腎臓の機能が低下する病気です。腎臓の機能が衰えると、本来体外に排泄されるはずの老廃物が排出できなくなってしまいます。その結果、嘔吐や食欲不振、多飲多尿、体重減少といった症状が出てきます。
一度失われた腎機能は取り戻せないため、一度腎不全になってしまうと完治させることはできません。しかし食事療法や点滴などによって進行スピードを遅らせることはできるので、動物病院に相談しましょう。猫の慢性腎不全は、6歳を超えると発症数が急増します。予防するために早いうちから半年に1回程度、定期的に健康診断を受けましょう。
肝炎、膵炎、甲状腺機能亢進症などの病気の可能性も

他にも嘔吐の症状を引き起こす病気があります。肝炎や膵炎、また甲状腺機能亢進症などの疾患も、嘔吐の症状が現れることがあります。
肝炎は、さまざまな原因で肝臓に炎症が起こり、肝機能が低下した状態です。食欲不振、体重減少、排尿過多、飲水過多に始まり嘔吐や黄疸に進みます。さらに進行すると肝硬変や肝不全に至り、治療は難しくなります。
対処法としては、薬の投与、食事の改善、自宅での安静があげられます。
膵炎は、高齢の猫に多く見られます。膵臓に炎症が起きると、膵臓自身や周辺の組織を傷つけます。嘔吐だけでなく、下痢、脱水症状を起こし、糖尿病につながることもあります。治療には、抗炎症剤、鎮痛剤などが使用されます。
甲状腺機能亢進症は、10歳以上の高齢猫によく見られる病気です。のどの甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、嘔吐、軟便、多飲多尿を引き起こします。治療法としては、薬の投与や、甲状腺の切除手術、食事療法などがあります。
愛猫が頻繁に吐くのを防ぎたい
毛玉ケアのフード&ブラッシングが効果的
猫が毛玉を吐くのは、自然なプロセスで通常は問題ありません。
ではそのまま放置しておいて良いかというと、必ずしも良いというわけではありません。
あまり多くに吐くことは猫の胃や腸に負担がかかりますので、心配でしたらまずはブラッシングをこまめにしてあげましょう。
そうすることで、毛づくろいの時に飲み込む毛が減り、嘔吐の回数も減るからです。
また、最近では毛玉コントロールのフードも様々なメーカーから出ています。毛が便とともに体外に排出されやすくなるよう作られていますので、吐く回数が多い猫や、長毛なのにほとんど嘔吐しない猫にあげると、胃のなかの毛玉を体外に排出するサポートをしてくれるでしょう。
早食い・丸飲みで嘔吐することも。防ぐためには

毛玉を吐き出したり病気以外の場合でも猫が吐くことがあります。その場合、食べ方に問題がある場合があります。
最も多いのは、食べる際の早食い・丸飲み。大量のフードを急いで丸飲みすると、少し時間が経ってから吐いてしまうことがあります。
これも毛玉の嘔吐と同じであまり心配のない嘔吐ですが、あまりに繰り返すとやはり胃腸に負担がかかることが。もし早食い・丸飲みタイプの猫の場合は、一度にたくさん食べ過ぎないよう、フードは少しずつ、何回かにわけて出してあげるようにしましょう。
空腹やストレスが嘔吐に関係することがある

もし、嘔吐をしたけれども原因が思い当たらない、病気の可能性も早食いでもない。毛玉もフードもなく胃液だけを嘔吐している場合、胃酸過多を起こしている可能性もあります。
胃酸過多の原因の1つは、空腹によるものです。長時間食べずに胃が空っぽになっていると、胃液が逆流して嘔吐してしまうのです。これを予防するには、フードをあげる時間を何回かに分けて、少量ずつフードを与えるとよいでしょう。
もう1つの原因は、ストレスによるものです。猫は繊細な動物なので、環境の変化をストレスに感じることがあります。その結果、過剰に分泌した胃酸が逆流し、嘔吐するのです。対処法としては、猫がお気に入りのアイテムを用意したり、猫が苦手な大きな音を控えるなどして、猫がリラックスして過ごせる環境づくりを整えてください。