SNSで話題!猫吸いとは?~危険性も~

猫好きのみなさまの間で流行っている「猫吸い」

SNSで一時期とても話題になりましたね。

でも、猫吸いには人間にとって危険性がある事をご存じでしょうか。また、ねこちゃんにとってもストレスになる場合があります。

この記事では「猫吸いとは何なのか」。また、その危険性にもふれたいと思います。

目次

やめられない魅力「猫吸い」とは?

やめられないほどの魅力を持った「猫吸い」の正体

猫吸いとは、飼い主さんがねこちゃんの体に顔をうずめニオイを嗅ぐ行為の事です。

ねこちゃんのモフモフした体に顔をうずめて、スーハーと息を吸うと、そのニオイで幸せな気持ちになれる飼い主さんが多いとのこと。その行為を「猫吸い」と呼びます。

このニオイの原因は、ねこちゃんの皮脂腺がカギとなっています。ねこちゃんの全身には「アポクリン腺」があります。アポクリン腺からは、脂質、タンパク質などを含む、ニオイの元となる汗が出ますが、これらの分泌物のニオイはそれぞれの個体によって違います。

大好きなねこちゃんだからこそ、こうした分泌物を「いいニオイ」と飼い主さんは感じるのでしょう。

猫吸いの危険性

ねこちゃんへの影響

我々猫好き人たちに、大きな癒しを与えてくれる猫吸いですが、健康上の危険性があることも、忘れてはいけません。ねこちゃんは、警戒心が強く繊細な生き物です。例えば、猫吸いのために長時間抱っこしたままで拘束してしまうと、ストレスを感じてしまう可能性があります。

ねこちゃんにとってストレスは軽視できません。

精神的なストレスが原因で自律神経系のバランスが乱れ、ねこちゃんは消化機能が低下したり、自傷行為(しっぽを噛む、体をずっと舐めるなど)をしてしまう症例があります。

人にとっては些細な事でも、ねこちゃんにとっては大きなストレスになっている事もあります。

例えば、ベッドの位置が少し変わったり、普段使っている食器が違うものに変わったり、大きな物音がしたりなどです。

飼い主が触りすぎる事も、ねこちゃんにとっての代表的なストレスの一つです。多くの猫にとって、長時間触られる事は苦手であり、ストレスになります。そのため、長時間の猫吸いも、ねこちゃんにストレスを与える原因になるかもしれません。

人への影響

猫吸いの危険性として、人への影響もあります。それは、猫から人への感染症です。

自然界の動物に比べると、家猫は清潔で寄生虫も多くはありません。とはいえ、持っている病原体はゼロではないのです。 ここからは、その病原体を一つずつ解説していきます

トキソプラズマ症

トキソプラズマ症とは、トキソプラズマという寄生虫により起こります

トキソプラズマは世界的に分布し、猫や豚などの家畜、そして人に感染します。トキソプラズマは、ねこちゃんの場合は主に糞便に排出されます。

「猫吸いは猫のうんちとは関係ないと思うけどな?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、ねこちゃんは毛づくろいの際にお尻の近くを舐める事があります。そのまま他の部位を毛づくろいすれば、病原体が便やお尻以外の部分に移動する可能性があります。

そのため、おなかや背中で猫吸いをした場合でも、トキソプラズマを吸い込んでしまう恐れがあるのです。

人に感染した場合、健康な人ならほぼ無症状で、症状があったとしても風邪の様な症状で収まり、自然に治癒することが多いようです。

ところが、妊婦さんがトキソプラズマに感染すると、胎盤を通して胎児が感染し、先天性トキソプラズマ症になる恐れがあります。先天性トキソプラズマ症は、水頭症、視力低下、脳内石灰化、精神的運動機能低下(精神遅滞)が4大兆候として挙げられます。

また、胎児のトキソプラズマ感染は流産や死産の原因にもなる可能性がある、とのことです。そのため、妊娠中や、妊娠の可能性がある女性の猫吸いは、控えた方が良いでしょう。

Q熱(キューネツ)

Q熱は、ダニを媒介とした感染症です。

コクシエラ・バーネッティという病原体によって引き起こされ、野生動物、家畜、ペットまで、多くの種類の動物が感染します。症状はインフルエンザと似ており、発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、呼吸器症状などが起こります。ときに、肝臓の機能障害を及ぼす事もありますし、さらには、心臓に感染すると心内膜炎という病気になり、長期の入院が必要になるなど治療が困難なケースもあります。

疥癬(かいせん)

疥癬症(かいせん)とは、ヒゼンダニが引き起こす皮膚疾患です。激しいかゆみを伴い、皮膚に炎症が起きます。人にも感染し、激しいかゆみを引き起こすことがあります。ねこちゃんが疥癬に感染したら、皮膚が炎症を起こし全身をかゆがるので「あれ?いつもよりかゆがっているようだ」と思ったら、すぐに病院にお電話をしてください。

猫引っかき傷

猫ひっかき傷は、「バルトネラ・ヘンセレ」という菌による感染症です。ねこちゃんに引っ掛かれたことでこの病原菌が人の体に侵入し、傷が赤く腫れあがり強い痛みを伴います。

その他、微熱や倦怠感等の症状を引き起こし、リンパ節が大きく腫れる事もあります。日本のねこちゃんの10%前後がこの菌を保有しているとの報告があります。特に気温の高い地域の雄の野良ネコで、この菌の保有率が高い傾向があるとの報告がされています。

この病原体を媒介するのは、ノミです。屋外で遊んでくるねこちゃんは特に注意が必要です。

安全な猫吸いの方法

ねこちゃんの様子をうかがう

「猫吸い」には、ねこちゃんにも人にも健康上のリスクがあります。ただし、気を付ければ安全性を高められることはできますので、その方法をご紹介します。

ねこちゃんは、警戒心が強く繊細な動物です。急に抱き上げられたりするなど、たとえ飼い主さん相手でもストレスを感じてしまいます。ですから、猫吸いの前には撫でたり抱っこしたりしても大丈夫か、様子を見ましょう。

猫吸いの後は必ず手洗い、うがい

前述の通り、ねこちゃんから人にうつる感染症は多くありますから、感染しないための対策が必要です。

そのため、猫吸いが終わったら、必ず手洗いとうがいをしましょう。人の手に病原体が付いたまま、顔を触ったり食事をすることで、病原体が体内に入りこむ機会が生じます。その対策として、泡石鹸での手洗いがおすすめです。

また、ねこちゃんをスーハーした際、すでに鼻やのどに病原体が付着している可能性もありますので、うがいをすることを強くおすすめします。可能であれば、鼻うがいもした方が安全度は高くなります。鼻の中は粘膜なので、水道水ではなく生理食塩水の方がやりやすいです。生理食塩水もセットになった、鼻うがい専用キットを買うとやりやすいでしょう。

妊娠中は控えた方が良い

先述したように、先天性トキソプラズマ感染症は、胎児に健康被害や発達不全を引き起こします。妊娠中の方や、妊娠の可能性のある方は、猫吸いはしない方が良いでしょう。

まとめ

SNSで話題の猫吸いについて解説しました。

やめられない魅力があると言われていますが、健康面での危険性もある行為です。

その危険性を理解しながら、対策も知ったうえで節度を守って楽しんでくださいね。

Writing By 動物看護師A  2023/09/12

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